松村圭子著「小麦オフな食べ方」の読後感。
婦人科医によるグルテンフリー本でした。エリカ・アンギャルの「グルテンフリーダイエット」と、内容はほぼ一緒。グルテンフリー推奨ではあるものの、糖質制限は勧めないという立場で書かれています。
それにしても、サブタイトルが「やせてきれいになり、性格までも美人になる」とは、ちょっとふかしすぎじゃないかしらん。
性格美人になるというのは、甘いものを食べ過ぎなければ「血糖値の乱高下によりイライラする」のを防げるから、なのだそうです。でも、それって必ずしも小麦とは関係ないじゃない…。小麦を使っているかどうかにかかわらず、甘いものなら同じことだもの。
他にも、「小麦は食べるな!」を鵜呑みにしているらしき「小麦=麻薬」説や、遅延型フードアレルギー検査(IgG検査)を薦めるなど、ちょっと首をかしげるような記述がいくつかありました。この本が発行されたのは、各アレルギー学会が「注意喚起」を出す前なので仕方ない面があるとはいえ、現在でも著者のクリニックではIgG検査をしているところが、何だかなーと思います。
- 血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起(2014-11-19 日本小児アレルギー学会)
- 〔学会見解〕血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起(2015-03-02 日本アレルギー学会)
IgG検査については「効果が疑わしい」レベルじゃなくて、日本アレルギー学会なんかは明確に全否定ですものね。もうちょっと勉強していただきたいなぁ、と思います。せっかく著者が医師なのですから、ネットに流布している間違いを正す方向で書かれているとよかったのに。それだとあまり扇情的にならないから、売れないのかな?
糖質制限を安易に薦めないところは評価できますが、きちんとした医学的裏付けのある内容でないところが、やや期待外れでした。