ポール・ギャリコの本の中では珍しく「大人の本」。まったく動物が出てこないところも珍しいかも。
昔読んだ本ですが、買ってまた読んでしまいました。
身寄りのない女の子が職を失い、人生に絶望して死のうとしているところに興業中の人形劇団の人形が声をかけてきて、そのままなりゆきで劇団に拾われ…、というお話です。だから、七つの人形とはその人形劇団の俳優である人形たち。
人形劇団がメイン舞台なので劇中劇がよく出てくるのですが、劇中劇についてはざっとあらすじを説明するのみで具体的な描写はあまりありません。音楽座ミュージカルが舞台の演目にしているそうですが、ずいぶん難しいモノを選んだなーと思いました。見てみたいような気がするけど、よほどマメにチェックしていないと公演があっても見落としそう。
ストーリーがわかっていても、やはり夢中に一気読みしてしまいました。ただ、ひとつ気になったのが表紙絵。おしゃれなブロンドのフランス娘がお気に入りのぬいぐるみのクマさんを小脇に抱えている感じの絵です。だけど主人公は黒髪なんですけど。お金も色気もないのでブレスレットなんかしてるはずないんですけど。人形って人形劇団の人形であって、ぬいぐるみのクマさんじゃないんですけど。まったく内容を読まずに描いたとしか思えないところが、なんとも残念でした。
それはそれとして、やっぱり矢川澄子の翻訳はいいなぁ。