イプセンの戯曲とタイトルが一緒だけれども、こちらは児童文学。
エミリーとシャーロットという姉妹の家にある人形一家の物語。子どもの頃に読んだ記憶があるものの、ストーリーをまったく覚えていなかったのでまた読んでみました。
- 原題: The Dolls’ House, 1947
- 著者: Rumer Godden
ただし翻訳は少し古めかしい上に、原文を知らない自分でも「おや?」と思う部分がありました。たとえば、次の部分。
クリーニング屋さんが、マーチペーンをこの上なくちやほやとあつかったものですから、マーチペーンはすっかり頭にきてしまいました。
ちやほやされて、どうして腹が立つのか不思議でしたが、たぶんこの原文は “went to her head” だったのだろうと。つまり「すっかりいい気になってしまった」とか「思い上がってしまった」とか、そんな意味。
「つぎはぎ細工のふとん」も、今なら「パッチワークキルトのふとん」の方がわかりやすくないかしらん。
そんなに風に気になる点はちょこちょこあれど、とにかく「ことりさん」が最高。たぶん子どもの頃には彼女の可憐さがわからなかったと思います。何て明るく軽やかで優しい、すてきなお人形なんでしょう。ことりさん、いいわー。ことりさんのことを想像すると泣きたくなるくらい、大好き。