五十嵐くんと中原くん (3)

自分の恋心を自覚した五十嵐が、葛藤の末ついに中原に気持ちを打ち明けるまで。

髪の色だけを見て不良と決めつけて、やたら中原に突っかかる武田にムカつく。根が真面目なことなんて、ちょっと見てればすぐにわかりそうなものなのに。服装を見ただけでも、制服を着崩すことがないのがわかるし。ツッパるあまりツンケンしていた中原の態度はいただけないにしても、それと素行は別問題。これって単なるやきもち? いずれ三角関係にもつれ込むという前振り…? かどうかはわからないけど、中原の懐の広さに惹かれていきそうな予感がしないでもない。それが恋愛感情になるかは別にして。

作者によれば、当初はこの巻までで完結の予定だったらしい。でも、まだまだ続けてほしいなぁ。

人の輪の中心にいながら孤独を募らせてきた五十嵐の心の内が、読んでつらい。境遇的に自分が共感できるのは中原だけど、五十嵐に似た同級生もいたから絵空事のようにはまったく感じない。高校受験に失敗した彼は、あの後どうしたんだろう。荒れていたらしいことだけは風の噂に聞いたものの、その後を知らない。