ああちゃん、さやか(ビリギャル)著「ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話」を読みました。
少し前に映画化されて話題になった「ビリギャル」のお母さんの本。
とにかく「叱らない」ことを徹底し、「しつけは不要」と説きます。読んでいて、「サイラス・マーナー」を思い出しました。サイラスの場合は、努力して叱らない方法をとったというわけでなく、エピがかわいくてかわいくて叱りつけることができなかったからですが。でも、その結果とても素直で親思いの心優しい娘に育った、というところは一緒なんですよね。
読んでびっくりしたのは、育児書どおりにしつけようとして体罰を加えてしまっていた、というところ。そんな育児書があるのか…。
子どものいない自分には、子育て方法よりも夫婦仲を再生する経過の方を興味深く読みました。冷え切り方もすごかったけど、よくそこまでこじれてから和解できるものだなと感心しました。子どもがいたお陰なのでしょうね。うちはこんな風に仲がこじれることもなく、幸せだなぁ。
ただしこの本は、少なからず脚色が入っているように思います。すべてを鵜呑みにはしない方がよさそうな。
本のタイトルに「ダメ親」とか「学年ビリ」とか「どん底」とかセンセーショナルなキーワードを散りばめてあるけど、客観的に見て本当のどん底家族とはとても思えないから。夫は会社をふたつも経営している人だし、著者は夫から「経済封鎖」されていて生活費を一切渡してもらえず、娘ふたりの養育費用は一切出してもらえなかったと言うけど、その割には長女は中高一貫教育のお嬢様学校に通っていたし。
食費一切と娘ふたりの養育費用すべてを母親ひとりの収入でまかなっていたのだとすると、「パート」とは言いつつその言葉からイメージされる低賃金の職場とはかけ離れた仕事をしていたのじゃないかなぁ。すべてが作り話とまでは思いませんが、本を売るためにいろいろ意図的にミスリードしてそう。
そう割り切って読むなら、軽く楽しく読める読み物だと思いました。