外反母趾を防ぐ・治す

井口傑著「外反母趾を防ぐ・治す」を読みました。

足の外科、靴医学を専門とする形成外科医による外反母趾の予防法と治療法の本。

医者の視点からまとめてあるので、予防に関しては記述が比較的少なめです。予防のための歩き方などは、ほとんど載っていませんでした。その代わり、治療法については非常に詳しく書かれています。手術を受ける際に知っておくべきことなども、章を割いて詳しく書かれていました。形成外科で治療を受けるなら、この本を一読しておくと効率良く診療してもらえそうです。

セルフチェックでは、足の内側のラインで親指の角度を測るそうです。

角度 診断
5~8度 正常
8~15度
15~20度 外反母趾 軽症
20~40度 中等度
40度以上 重症

15度以上なら形成外科に行くように、とのこと。正確な診断はレントゲン写真を使いますが、セルフチェックではレントゲンで測る値より大きめの値が出るそうです。

外反母趾の進行度は、次のように4段階あるそうです。

  • 可塑期
  • 拘縮期
  • 進行期
  • 終末期

私の場合は、足の親指に力をかけてまっすぐにしても力を抜くとすぐまた曲がってしまいますから、拘縮期なのかな。

外反母趾はほとんどの場合ハイヒールが原因だそうですが、私はハイヒールなんて冠婚葬祭のときにほんの数時間履くだけ。日常はいつもスニーカーや紐靴なのに、高校生くらいからずっと軽く外反母趾気味だったと思います。たぶん、ゆるい靴が原因だったのではないかと。

外反母趾の人が靴を探すときには、「親指が曲がっていないと仮定して、合った靴」を探すべきなのだそうです。

外反母趾の人は、痛くない靴を選ぶと必ず広すぎる靴になりますし、本来の足に合った靴を選べば親指のつけねが当たって痛みます。そこで、本来の足に合った靴が見つかったら、親指のつけねの出っ張りに当たる部分で靴の皮を伸ばし、膨らませます。

シューフィッターのいるお店はたくさんあるけれども、こんなことしてくれるお店がどれだけあることやら。理想的な靴は「足に体重がかかって足の幅が伸びると靴の皮が伸び、足を柔らかくしめつけ、足が広がらないよう支持」する靴なのだそうです。ということは、開帳足の人は足の幅に合わせて靴を選ぶのではなく、本来の足幅に合わせて靴を選ぶべきということに。

靴選びの難しさについては、こんな風にも書かれていました。

こうして、理想的な靴をはいて歩けば、足が地面に着くとしまり、話すとゆるむという周期が繰り返されます。これによって足の血液は、心臓に向かって送り返されるのです。

しかし、この靴をはいてずっと立っていると、足はしめつけられたままになり、血液の循環が悪くなり足はむくみます。(中略)これでわかるように、立っているのと歩くのでは、理想の靴が変わってしまうわけですから、靴を選ぶのはむずかしいのです。

たいていのシューフィッターは立った状態で足のサイズを計測し、そのサイズに合わせて靴を選んでくれますから、歩くための靴ではなくずっと立っているための靴を選んでくれているといくことになります。そのための靴を選ぶならそれで良いけど、歩くための靴が欲しい場合には困りますね。

私の場合、外反母趾の程度は軽い方なので、参考になる部分はさほど多くはありませんでした。が、本格的に外反母趾になってしまっている人は一度読んでおくべき本だと思います。