期間限定でKindle版1~3巻が無料だったのをダウンロードし、まんまとAmazonの策略にハマって全14巻を大人買いしてしまった。こんなに読み返したマンガは久しぶり。
東大経由ハーバード大卒なんていう高学歴が新聞社に就職していた、今は昔の物語。時代の変化を感じるなー。今どき、新聞社なんていう斜陽産業に就職する東大卒なんていないもんね。昨今の人気は、商社、銀行、証券らしい。
出てくる家族が女系ばかりなのも、面白い。主人公のスミレは三姉妹だし、モモには姉が4人もいるし。ユリちゃんの子どもはふたりとも女の子、妹のアカネの子も女の子。男兄弟がいるのは蓮実先輩と福島さんくらい?あ、シノブさんの子にも男の子いたかも。いずれにしても、三姉妹と四姉妹のインパクトが大きすぎる。でもマンガだからね。
正直、絵柄はあまり好みではない。主に正面の顔。たらこ唇がなぁ…。でも、ストーリーが面白かった。と思ったら、2回もドラマ化されていて、韓国では映画化もされていたらしい。確かに、いかにもドラマに仕立てやすそうなストーリー。
何度も読み返す理由は、単にストーリーが面白いからだけでなく、絵がうまいから。絵柄が好みじゃないとは言っても、読んでるうちに慣れてきて、脳内変換するようになった気がする。うまいと思うのは、手や身体全体のシルエットなどが体型ごとに描き分けられているところと、背景や小物。特に小物の精緻な描画線なんて、どうやって描いているのか不思議で仕方ない。
不思議がっていろいろ調べているうち、イマドキのマンガはデジタルツールで作成するのが一般的になってきているらしいと知る。写真を取り込んで加工したり、便利な方法があるらしい。なるほど、だから背景や小物の質が高いのか。そうは言っても、身体のパーツの体型別の描き分けなんてデジタルかアナログかは関係ないし、写真加工の背景や小物を違和感なく配置したり人物とのバランスをとるのも腕だろうから、やはりうまいのだと思う。ダンスシーンもめちゃくちゃかっこいい。そんなところに注意を向けると、何度読み返しても面白い。
台詞もいい。12巻目のRule69で、ユリちゃんが「あたしに言わせりゃあのふたりって、こんな感じなのよね…」と、陶器製の人形のついたオルゴールを眺めながら言う台詞の真意が気になってしかたがない。思いつくのは、こんなところ。
- きれいだけれども、作り物
- 永遠にフォーマルな挨拶から先に進むことのない関係
- ネジの切れかけたオルゴールのように、今にも終わりそう
作者の意図したのはどれなんだろう。全部ハズしてたりして。こういう含蓄の深さも、ドラマにしたくなるところなのかも。
なお、「きみはペット」が面白かったので調子にのって買った同じ作者の初期の作品「ベイビーポップ」と「キャンディライフ」は、自分にとってはハズレでした。絵柄の苦手なところだけが出ている感じ。この差が、プロとしての活動によって作品が洗練されていくということなのかも。