ワーキングプアな大学非常勤講師の1年間。
主人公の瓶子貴宣(へいしたかのぶ)はK大卒という設定。読み始めたときは慶応かな、でも母子家庭で進学したのに私大なんて変だな、と思ったけど、よく考えたら関西の「K大」と言ったら京大よね。
それなりにイベントというか「事件」はあるものの、のめり込んで読んじゃうほど「ぐいぐいくる感じ」はなかったので、ところどころやや斜め読み気味に読了。ラストも、バッドエンドではないものの一件落着というわけでもない終わり方だった。と言っても、この人の本は伝記物をのぞけば基本的にそういう終わり方が多いけど。そうすることで続編を書きやすくしているのかも。
ジョーカー的な存在の薬膳というキャラクターが、何とも言えない。さりげなく(というより、あからさまに?)主人公につきまとってるあたり、どれだけ主人公のことが好きなの。ストーカーの一歩手前というか、ほぼストーカーというか。でも、しばしば助けられたりする。こういう「金銭的にも社会的にも恵まれている小癪なやつで、何を考えているのかよくわからず気持ち悪い」キャラクターは、トッカンシリーズにも出てきた。便利なのかな。