山田風太郎著「エドの舞踏会」の読後感。
「妻たちの鹿鳴館」の原作。実は「妻たちの鹿鳴館」さえ知らなかったのですが、ふとしたことで目にした陸奥亮子の写真に一目惚れして、関連書籍を探してこの本にたどり着きました。
写真の著作権はとっくに失効しているはずなので、Wikipediaから転載。本当にきれいな人だなぁ。時代によって美醜の基準は変わるというけど、今の基準でも十分に美人だと思います。
主人公は海軍少佐の山本権兵衛で、この本の中では名士の妻たちを鹿鳴館へ誘い出すのが使命。主人公が有名人の妻たちと関わる中で見聞きする、それぞれのドラマが描かれています。陸奥亮子は、その中のひとり。
刃傷沙汰や刀による自害の話もよく出てきて、動乱の時代だったのを感じます。
この本に出てくる妻たちは、例外なく芸者または遊女出身でした。そういう人の方が、ドラマチックで物語にしやすかったのかもしれません。それにしても成り上りとは言え、それなりの出自の人がこの時代には芸者や遊女を妻にしていたんですね。現代に置き換えると、あまり考えられないことのような気がします。
芸者や遊女って、今で言うとキャバ嬢やソープ嬢ですよね。そういう人たちが政治家や実業家に見初められて結婚するケースがどれほどあるだろうかと考えると、身分制度が厳格だったと考えられている昔より、今の方が身分が固定化されてしまっているような気がします。それとも、実は自分が知らないだけなのかしらん。
いったん社会の底辺に沈んでしまった人たちが、また浮上する機会がどれだけあるだろうか、などということも考えながら読んだ本でした。