奥田弘美著「精神科医が考えた忙しすぎる人のための『開き直り』の片づけ術」を読みました。
とかく、この著者の本はタイトルが長い。そういうポリシーなのかしらん。
このところ「モノを捨てよ」というタイプの片づけ本を続けて何冊か読みましたが、片づけるためには王道だよなーと思いつつ、何かしっくり来ませんでした。が、この本を読んで、何となく納得。
片づけてすっきりした部屋は好きだけど、別にモデルルームみたいな部屋にしたいわけではないんですよね。この著者の言っているとおり、片づける目的は次の3点なわけです。
- 健康のため清潔・安全を維持すること
- 物を紛失しないこと
- 欲しい物がすぐに取りだせること
我が家の場合、夫がアレルギー持ちなので、ホコリ対策は特にしておきたいところ。ラクに掃除が効果的にできる家にしたいだけなのです。もちろん、すっきりしていたら気持ちが良いというのもあります。が、他人に見せびらかすために飾り立てたいとは特に思っていないのです。だって、家に招くような人いないし。
モノを減らすのは、掃除がきれいにできる程度に収納場所に収まるまで減らすだけで、収納内部まで人に見せられるようきれいに飾っておきたいとはあまり思いません。いいじゃん、別に引き出しの中が少々乱雑だって。それでホコリがたまるわけでなし、ちゃんと使いたいモノがすぐ取りだせるなら、必要以上に内部を整理することないもんね。実用本位で良いと思っています。
そういうところには共感できたのだけど、ひとついただけないと思った点もあります。そういう、「片づけに対する割り切り」の利点を強調するために、「天才に机のきれいな人はいない」くらいの勢いで、身の回りの整理はできていないけれども有能な人たちの例を挙げているところ。学者の机上が雑然としているからといって、研究成果を出せないわけでは決してないというのは、よくわかります。だけど、たとえば実業家の場合、机の上の片付き具合と有能さには結構な関連があると思っています。つまり、片づけが得意な人と片づけに関心の薄い人は、それぞれ得意な分野が違うってだけなんですよね。
そのあたりのバランス感覚にちょっとだけ引っかかりはあったものの、総じて納得する内容でした。完璧じゃなくたっていいじゃない。生活してるんだもの、生活感があって当たり前じゃない。そういう感覚の片づけ術。完璧主義すぎて逆に片づけ始めることのできない人には、良い本じゃないかと思います。