ドミニック・ローホー著「シンプルに生きる ストレスからの解放」を読みました。
「シンプルに生きる」3部作の3冊目。文句なしにシリーズ中もっとも催眠効果の高い本でした。読んでると眠くなること。
たぶん、すべてが主観に基づいて書かれていて、科学的な裏付けのある文章ではないところが、自分にとっては興味を引かれない原因のように思います。「エネルギー」という言葉が多用されているのも、何だかカルト宗教めいていてちょっと引いてしまいます。決して突拍子もないことを書いているわけではなく、大筋ではとてもまともなんですけどね。ただ、あくまでもとても主観的なのです。
たとえば、こんな部分。
貧しい人たちを救済するですって? むしろ私たちの社会の方が貧しいのです。(P. 52)
いやいやいや。マリー・アントワネットじゃないんだから。世界の「貧しさ」のレベルをあなどっちゃいけない。健康な生活どころか、生き抜くことさえ難しい、生き地獄のような悲惨な貧しさが世界には存在しているというのに。
おそらく、著者は昔ながらの生活を続けて「現代文明」に染まっていない人たちのことを言っているのだと思いますが、そういう豊かな暮らしをしている人たちのことを「貧しい」と呼ぶのは何かずれている気がします。
社会性についての記述も、自分の感覚とは合わないと思いました。
自分にとって何の支えともならないような交友関係は整理してしまいましょう。(P. 40)
ミニマリストはどういう交友関係を築くのだろうかと興味があったのですが、やはりミニマリズムの原理に基づいて築くようでした。確かに、合わない人と無理に親しく付き合うのは疲れることだし、お薦めはしません。でも、だからといって自分にとって心地よい「仲良しグループ」的な交友関係しか持たないというのは、どうなんでしょうね。
自分と合わないと思う人でも、何かしら良いところ、学ぶところを持っているものじゃないかと思います。そもそも合わないと思うのが、その人のことを十分に知らないからというだけかもしれないし。そういう交友関係をばっさり整理対象にしたりせず、ニュートラルに付き合って行けたらいいな、と自分は思います。
3冊すべて読み終えて、「ミニマリズム」というのは自分のスタイルには合わなそうだと感じました。シンプルにいこう、とは思うものの、持たないことを極めよう、とは思わないのです。シンプルにすっきりと、何ごともほどほどに。そんな感じでやっていきたいと思います。