ビューティーキャンプ

林真理子著「ビューティーキャンプ」の読後感。

ミス・ユニバース・ジャパンの大会前にファイナリストを集めて2週間行われるキャンプを描いたもの。話に聞いて読んでみましたが、1時間あれば読み切れる程度の軽い読み物でした。

本の紹介に「苛酷で熾烈。嫉妬に悶え、男に騙され、女に裏切られ。」とあるので、どんなドロドロの世界かと思いきや、ドキュメンタリー風に淡々としていて、それなりにドタバタと小さな事件は起こるものの、これといって大事件が起こるわけでもなく、さらりと終わりました。

ディレクターのエルザ・コーエンは、イネス・リグロンをベースにエリカ・アンギャルをブレンドして作られた感じの女性。フランス出身のディレクターというところはイネス、書いた本のタイトルはエリカ、という具合に。

「ミス・ユニバース向けの美女をプロデュースする腕は確かであるものの、高圧的でケチくさい人」として描かれていて、風評被害が心配になりました。いくら巻末に「フィクションです」と但し書きがあっても、こう露骨にモデルがわかっちゃうと「実はこんな人だったのか」なんて思う人が少なからずいそうだもの。もしかして本当に…。いやいや。

エルザがキャンプ参加者のひとりに「5kg痩せなさい」と言ってしまうあたり、確かにフィクションだなと納得はしました。だって2週間で5kgも痩せるなんて、ミス日本レベルの体型の人にはありえないし。少なくとも健康的に痩せることは不可能。2週間で減量できる上限が体重の5%と考えると、かなり多めに見積もっても体重60kgとして3kgでしょう。

それに、ずいぶん厳しい筋トレをやらされているけども、追い込みの2週間でちょっと筋トレしたくらいで体型が変わるはずないし。1年間の準備期間があってやるという話ならわかるんだけど、2週間で筋トレ効果は体型には現れないでしょー。効果を感じるのには、2~3か月かかるって言うもんね。立ち居振る舞いやスキンケアをたたき込まれるなら、2週間でも効果ありそうだからまだわかるんだけど。ただしきっちりフォームを修正してくれるトレーナーつきで筋トレするなら、体型が変わらずとも姿勢は変わるかもしれません。

読みやすくて面白い本だとは思いますが、実際のビューティーキャンプがこういうものだと100%鵜呑みにしたりせず、脚色がかなり入っている娯楽小説と割り切って読むのがよさそうです。