フランス人は10着しか服を持たない

ジェニファー・L・スコット著「フランス人は10着しか服を持たない」を読みました。

図書館で借りて読もうと思ったら、予約がなんと423件…。諦めて本屋へ行きました。

タイトルからファッション指南の本を想像していましたが、全然違いました。原題は「Lessons from Madame Chic」(マダム・シックから学んだこと)。典型的なアメリカ育ちのティーンだった著者が交換留学生としてパリに行き、フランス貴族の末裔の家に半年間ホームステイして学んだフランス流の「シック」な生活スタイルについて書かれています。

「フランス人は10着しか服を持たない」という邦題は、フランスの家に置かれているワードローブは小さくて、服を10着程度しか掛けられないが、フランス人にはそれが普通で不自由に感じることがない、という章から来ています。本の内容とは無関係に、章のタイトルの中からもっとも刺激的に見えるものを選んでタイトルにしたようです。でも「10着しか服を持たない」というのは嘘で、「ワードローブに掛けておくのは10着だけ」というのが本当のところでした。季節ごとに衣替えして入れ替えているだけ。

読んで思ったのは、フランスに特有な話は少ないような気がする、ということ。たとえば、「歩きながらモノを食べるのはシックじゃない」とホームステイ先のマダム・シックから教わった話とか。これって、イギリスなら「レディのすることじゃありません」とか「エレガントじゃありません」とか言いそうだし、日本なら「お行儀が悪い」と一喝されそうだし、どこの国でも上品に暮らす人々からは同じことを注意されるのじゃないかしら。

「ミステリアスな雰囲気を漂わせる」なんて章があって、どんな秘訣があるのかと思ったら、単に「プライベートなことをやたら話す必要はない、当たり障りのない大人の会話をしよう」というだけのことでした。「お出かけですか?」「ええ、ちょっとそこまで」みたいな。うん、やはりフランス特有の話じゃありませんね。

筆者のサイトによると、マダム・シックものは他に2冊出ているそうです。

  • At Home with Madame Chic
  • Polish Your Poise with Madame Chic

2冊も続編出すくらいに売れている様子。でも基本的にエッセンスは1冊目にまとめられているので、2冊目以降は内容的には重複が多そうです。