キレる女 懲りない男

黒川伊保子著「キレる女 懲りない男」の読後感。

「女性 vs 男性」モノ。よくある本だと思うのに、著者の前書きに「人類初の挑戦か……?」とあって笑ってしまった。しょってるなー。ナイーブにもほどが。

男女差への対処法を「脳の取扱説明書(トリセツ)」と名付けたのは新しいかもしれないけど、ただそれだけのこと。内容は、他の本と大差ありませんでした。その中で、ちょっとなるほどと思ったのは、「レディーファーストは、男性の女性への好感度を上げるために非常に優れたシステム」という考え方。こういう着眼点は、日本人ならでは。

「女性は共感を得たい、男性は納得したい」という違いは誰の本にも普遍的のようだけど、それだけでは話が小さくまとまりすぎるので、枝葉を広げるために個人的な経験をもとにしたエピソードが詰め込まれています。が、中には「本当にそれって脳の差なんだろうか」と思うようなものも。

たとえば、「男性に対して説明するときには結論を最初に、その次に理由を3項目程度挙げて説明すると良い」とか。女性だって、何か質問したときに回答がすぐ得られなかったらイライラするでしょうに。それに、男性なら自然にそういう説明の仕方をするなんてこともないと思います。自然にはできないから、ビジネス本でそういう基本を教えるものが多いのじゃないかな。

文末に「(微笑)」と付けられていることが多いのも、気になりました。気取ったすまし顔の中年女性が、得意げな薄ら笑いを浮かべている様がその度に想像されて、なんとも寒気が。このあたりは、感じ方の差なのだろうと思いますけども。「(爆)」とか「(核爆)」などと言った書き方に通じる、違和感というか不快感が自分にはありました。そんなものを付けなくても、ニュアンスやユーモアは文章だけで十分に伝えられるものだと思うのだけど。

何度も読み返すタイプの本ではありませんが、娯楽としてさらっと読み流すには面白い本でした。