水力発電が日本を救う

「日本史の謎は『地形』で解ける」シリーズの作者による本と知って読んでみた。最近メディアで水力発電が話題になっているのは、この人の影響か。

とっとと誰か議員立法してくれたらいいのに。

目次

序 100年後の日本のために

第1章 なぜ、ダムを増やさずに水力発電を二倍に出来るのか

  • 巨大ダムを増やす時代では内
  • 年間二兆円分の電力増
  • 日本のダムは水を半分しか貯めていない
  • 多目的ダムの矛盾
  • もっと水を貯めても危険はないのに……
  • 半世紀前の法律で運用される多目的ダム
  • 近代化では建設、ポスト近代化では運用
  • 河川法は二度変わった
  • 水は誰のもの?
  • 国は待っているだけ

第2章 なぜ、日本をエネルギー資源大国と呼べるのか

  • 日本のダムは「油田」
  • グラハム・ベルは日本のエネルギー資源に気づいていた
  • アジアモンスーンの北限
  • 雨のエネルギーは太陽から与えられる
  • 山は雨のエネルギーを集める装置
  • 薄いエネルギー
  • 山は雨のエネルギーを集める装置
  • 日本の近代産業の遺産
  • 日本全国がダムの恩恵を受けられる
  • 水力の国に生まれた幸福

第3章 なぜ、日本のダムは200兆円の遺産なのか

  • ダムは半永久的に壊れない
  • ダムが壊れない理由① コンクリートに鉄筋がない
  • ダムが壊れない理由② 基礎が岩盤と一体化している
  • ダムが壊れない理由③ 壁の厚さは100m
  • 多目的ダムは砂がたまりにくい
  • ダムがない水路式発電
  • 水力発電の使い勝手をよくする逆調整池ダム
  • 水を貯めたままダムに穴を開ける
  • たった10%の嵩上げで電力が倍になるわけ
  • 嵩上げ工事の実際
  • 水力の発電コストは支払済み
  • 100年後、200年後にこそきちょうになるダム遺産
  • 中小水力発電の具体的なイメージ
  • 発電に利用されていない砂防ダム
  • 少なくとも200兆円の富が増える

第4章 なぜ、地形を見ればエネルギーの将来が分かるのか

  • 地理の視点からエネルギーを考える
  • 奈良盆地から京都への遷都はエネルギー不足が原因
  • 家康が江戸に幕府を開いた理由は豊富なエネルギーだった
  • 幕末は文明の限界だった
  • 明治日本の足下に眠っていた石炭
  • 石油は日本を戦場へと駆り立てた
  • 文明のあるところ環境破壊あり
  • 木材も石油も再生可能エネルギーも太陽から来る
  • エネルギーの量が人口を決める
  • ラッキーな三億人
  • 国産エネルギーの時代の適正な人口は?

第5章 なぜ、水源地域が水力発電事業のオーナーになるべきなのか

  • 電力源分散化の時代には中小水力発電が有効
  • 都会の人々は水源地域の人々の感情を理解していない
  • 思い出は補償できない
  • ダム湖を観光資源に
  • 家の上を通る船には乗れない
  • 川の権利をめぐる法律と心のギャップ
  • 民間企業では合意に時間がかかりすぎる
  • 地元でやろうにも担保がない
  • 川で儲けようとすると不公平感が出る
  • 小水力は水源地域自身がやるしかない
  • 「利益はすべて水源地域のために」という原則
  • 第5章への追記

第6章 どうすれば、水源地域主体の水力発電は成功できるのか

  • 水源地域のための小水力発電
  • 水力の専門家集団による支援体制
  • 水源地域が行う事業の保証の体制
  • 安定したSPC(スペシャル・パーパス・カンパニー:特定目的会社)の体制
  • 小水力発電の収支
  • 小水力の買い取り価格は優遇されている
  • 議員立法で
  • 理念の明確さと情報開示
  • OB人材の有効利用とノウハウ継承

終章 未来のエネルギーと水力発電

  • 目標は拡大ではなく持続可能
  • エネルギーの変遷
  • 100年後、200年後の持続可能なエネルギーは何か?
  • 集中から分散へ
  • 歳が水源地域に手を差し伸べるとき