魔法使いの婚約者5 異国より来たる鏡写しの君

相変わらずねっとりして、くどいんだよなぁ。このくどさは、ページ数を稼ぐための水増しのようにどうしても思えてしまう。ストーリーだけ追えば、もっとずっと薄い内容だもんね。まあ、そう文句言いつつ読むんだけど。

そして相変わらず、文章のクセが気を散らす。今回は「いっそ」の多用が気になった。ざっと探してみただけで、次のとおり。

  • 非常に眩しすぎて、いっそ目をそらしたい (P12)
  • いっそ信じられないほどに (P32)
  • いっそ見事だすら思えてくる (P59)
  • いっそ感心してしまう (P152)

これを多いと見るか、そうでもないと感じるかは人によるのだろうけども。とりあえず文句を言う前に、きちんとした意味と用法を調べてみよう。

  1. あれこれと考えた末、それらとは一段違ったことを思い切って選ぶ気持を表す。思い切って。いっそのこと。
  2. 好ましいものをあきらめて意に染まないものを選ぶときの、投げやりな気持を表す。どうせだめなら。ままよ。えいもう。いっそのくされ。
  3. 物事の、ある極端な状態を挙げて強調する、または一方を捨てて他方を選び、それを強調する気持を表す。むしろ極端に言えば。
  4. 物事の程度がはなはだしいさまを表す。たいそう。ずっと。

日本国語大辞典 精選版より

自分の知る「いっそ」の使い方から判断すると、この本の中での「いっそ」は上記のうち1番目の意味で使われているのではないかと思う。本来なら違う表現をするところ、敢えて反語的な言葉を選ぶように。だとすると、ここぞという場面で使うから引き立つのであって、あまり頻繁に使うと反語の意外性も色あせてしまうように思う。色あせるだけならまだしも、鼻につく。

自分では気づかないだけで、実は他の意味で使われているのかもしれないと思い、他の辞典も調べてみた。

  1. それまでの状況を打開するために、ある方法をとることを決断する気持ちを表す。思い切って。いっそのこと。
  2. 本当に。まったく。

大辞林より

上記の2番目の意味なら、それなりに頻繁に使ってもおかしくはないかも。

  1. 実に。ほんとうに。まったく。
  2. むしろ。かえって。思い切って。

広辞苑 第六版より

広辞苑では、「本当に、まったく」が最初に載っていたのにびっくり。現代ではこちらの方が主流なのだろうか。というか、広辞苑ってもっと保守的な辞典じゃなかったっけ……。